ウィスキー スコッチ ボトラー編(後)

ボトラーズ・ブランド

近年のシングルモルト人気を支え、立役者となっているのが、これから述べる「ボトラーズ・ブランド」の存在です。ボトリング会社、又は単にボトラーなど、よびかたは様々ですが、要は…

自社でウィスキー蒸溜を行なわず、各地の蒸溜所から原酒を厳選して買い取り、自社の判断で瓶詰(ボトリング)する会社

…のことです。このような、瓶詰専門の会社(以下、ボトラーと記します)は英国のみならず、イタリアやドイツ、オランダなど外国のボトラーも含め、数多く存在します。これは世界各地でシングルモルト熱の高まりを示す具体例のひとつでしょう。ウィスキー蒸溜所が自分たちの手で世に送り出すウィスキー(以下、オフィシャルと記します)と何が違うのか、ボトラーの存在意義とは何か…の功罪両面を、前編と後編に分けて挙げてみます。

ボトラーの功罪の「罪」

ボトラーブランド各種

ラベルやボトル形状はバラバラなれど、先の写真とは逆に、中のウィスキーは全てボウモア蒸溜所のもの。異なる複数のボトラーの一例。

(前編からの続きです。)

ただここまでくると、「功」の面がそのまま「罪」ともなり得ます。

まず第一に、あまりにも細分化されすぎるという事です。オフィシャルに加え、さらにボトラーは3社や4社ではききません。ややこしい上、なにを基準としていいか判らず、とてもウィスキーの初心者には向きません。「マッカランを下さい」と注文して、熟成年数の違いくらいならまだしも、目の前にずらずらっと並べられると、絶句するか「やっぱビールでいいです」ともなりかねません。

次に、ボトラー独自の熟成・瓶詰の試みが必ずしも成功していないな、と感じるボトルもあるように思えます。事実、オフィシャルの業者のなかには、ボトラーには原酒を売らなかったり、売るにしても、ラベルにうちの名前を入れないように、と契約を交わす動きも見られます。売った先では責任を持てないボトルに関しては、自分達の蒸溜所のものとは認めない、または、別物であると広言する職人が出るのも宜なるかな…です。

スコッチ人気の立役者

もっと細かい裏話もあるでしょう。例えばすでに閉鎖した蒸溜所の樽を多くかかえるボトラーは頼もしい限りです。深い琥珀色をだすための着色を一切しないであるとか、風味を損なう恐れのあるような濾過方法をとらない、等のボトラー各社の愛情溢れる工夫も随所に見受けられます。あとは実際にお店の人などに聞いてみて下さい。奥の深い魅力を語ってもらえると思います。

たいへん長くなりましたが、ウィスキーファンにとって、嬉しい(または嬉しくない)悲鳴をあげられるのも、ウィスキーを楽しむひとつの醍醐味といえるでしょう。

最後にボトリング会社のいくつかを列挙しておしまいにします。
ボトラーの先駆け的存在のウィリアム・ケイデンヘッド社やゴードン&マクファイル社、シグナトリー社、キングスバリー社、イタリアのサマローリ社、ドイツのクリューガー社…などなど枚挙にいとまがありません。

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