暗号解読

サイモン・シン ― 素粒子物理学の博士にして、元イギリスBBC在籍はさもありなん……と思わずうならせる筆の運びと、話のリズムの巧みさは、言わば良質のドキュメンタリー番組の書籍版。「フェルマーの最終定理」「宇宙創成」など、一見すると取っ付きにくい分野に見えながら、ひるみ不要・退屈無縁。


書店でたまたま、題名に惹かれて手にした「暗号解読」は、太古から今なお続く、暗号の作成者側と解読者側のドラマチックな攻防―と書けば格好いいのですが、要は隠したい人間と、それを暴きたい人間との、欲と本能の歴史。

悪魔的ともいえる強力な暗号機「エニグマ」を巡る、切実で印象的なエピソードなど、読み終えるのが惜しいくらい、知的好奇心と具体性に富む暗号の数々。読後は暗号の歴史を人に話したくなること請け合い(いずれも新潮社)。


事実、私もここ(註:オレンジメイル)で中程度の暗号を提示して、解読できた文面がすなわち「カクテル1杯差し上げます」のようにしようと思ったのですが、ある時ネット上で、さながら小学生の「宿題お助け掲示板」のような暗号ウェブページを発見、意気消沈してやめました。

人間の本能すら失わせるネットの使い方ってキライ!

オレンジメイル 2009年 10月配信分

戻る
インデックス
進む